経済

日産がリストラ発表したけど、いつ誰が対象なの?地域別の売上から解説

日産リストラ対象

日産が9000人をリストラする対象は?

2024年11月、日産自動車が世界で9000人のリストラをすることを発表しました。このニュースの背景には、最近の決算データから見える会社の課題がありそうです。では、日産が直面している状況を分かりやすく説明します!

リストラの中心になるのは、ヨーロッパが中心になると思います。時期については発表されていませんが、年内には方向性が示されるのではないかと思います。

また、その理由を解説していきます。

日産公式ホームページ日産公式ホームページ

1. どうして日産はリストラをするの?

日産がリストラを発表した背景には、利益の大幅な減少があります。特に2024年上期(4月~9月)の決算データを見ると、営業利益と純利益の両方が大きく減少しています​。以下に、その理由をデータから解説します。

(1) 車の製造コストが増えた

  • 原材料費の高騰: 近年、鉄鋼やアルミなど自動車の主要部品に使われる材料の価格が世界的に上昇しています。これにより、製造コストが増加し、利益率が圧迫されました。
  • 半導体不足の影響: 半導体が不足すると、生産がスムーズに進まず、コストが増える場合があります。この影響は2020年以降続いており、2024年も完全には解消されていません。

(2) 売上があまり伸びなかった

  • 売上高の停滞: 2024年上期の売上高は前年同期比で1.3%減少しています(6,063億円→5,984億円)。市場全体で需要が伸び悩んでいることが一因です​。
項目 2023年上期 2024年上期 増減率
売上高(億円) 6,063 5,984 -1.3%
  1. 地域別の販売低迷: 特に、以下の地域で売上や利益率が落ちています
  2. 北米: 売上高は前年とほぼ横ばい(3,501億円、-0.1%)ですが、営業利益が-84.6%と大幅に減少しました。
  3. ヨーロッパ: 売上高は微増(877億円、+2.7%)にもかかわらず、営業損失が拡大(-391億円)。
  4. その他地域: 売上高が-6.2%減少し、営業損失は-154億円に達しました。
地域 売上高(億円) 営業利益(億円)
日本 2,365 263
北米 3,501 168
ヨーロッパ 877 -391
アジア 771 326
その他地域 649 -154

(3) 競争が激しい

  • 電気自動車(EV)市場での競争: 世界の自動車メーカーがEVへの投資を加速させています。日産はリーフなどで早期参入しましたが、競合他社(特にテスラや中国のメーカー)が急成長しており、日産の競争力は以前より低下しています。
  • 市場シェアの縮小: 欧州やアジアでは、ライバル企業がより安価で魅力的なモデルを投入しており、日産の販売台数が減少しています。
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データから見ると、利益が減った主な理由は次の3つです

  1. 製造コストの増加(原材料費と半導体不足)。
  2. 売上の伸び悩み(特に北米やその他地域の影響)。
  3. 競争の激化(電気自動車市場や価格競争)。

これらの問題に対応するため、リストラによるコスト削減と経営効率化が不可欠となったと考えられます。

2. 日産はリストラで何を目指すの?

リストラ(人を減らすこと)には次のような目的があります:

  • お金を節約する:人件費を減らして会社の経費を抑える。
  • 新しい技術に投資する:余ったお金を電気自動車や未来の技術に使う。
  • 効率よく動ける会社にする:必要のない仕事を整理して、もっと強い会社にする。

営業利益の推移

年度 営業利益(億円) 営業利益率(%)
2020年 -1,507
2021年 2,473 2.9
2022年 3,771 3.6
2023年 5,687 4.5
2024年上期 329 0.6

3. 誰が影響を受けるの?

リストラは主に次のような地域や工場で行われると考えられます:

  • 北米(アメリカやカナダ):売上はそこそこあるけど、利益が少ない。
  • ヨーロッパ:車の販売が伸びず、会社にとってお金がかかりすぎている。
  • 他の地域(中南米など):利益がほとんど出ていない。

地域別の2024年上期データ

地域 売上高(億円) 営業利益(億円)
日本 2,365 263
北米 3,501 168
ヨーロッパ 877 -391
アジア 771 326
その他地域 649 -154
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リストラが予想される工場の地域について詳しく深堀すると

日産が発表した世界9000人のリストラでは、特に特定の地域や事業が影響を受けると予測されます。2024年上期の決算データを見ると、業績が振るわない地域や部門がリストラの中心になる可能性が高いです。

日本の売上状況

データから見える現状

2024年上期の日本市場の売上高は、以下のように推移しています​​。

年度 売上高(億円) 前年同期比(%)
2023年上期 2,358
2024年上期 2,365 +0.3%
  • 売上高は前年同期比で0.3%増加しましたが、全体の成長率としては停滞気味です。

1. 日本市場の課題

日本市場の売上が低成長となっている背景には、以下の課題があります:

(1) 国内需要の伸び悩み
  • 日本国内では少子高齢化や人口減少が進み、新車の需要が縮小しています。
  • 都市部では公共交通機関の普及が進み、特に若者の車離れが顕著です。
(2) 激しい競争
  • トヨタやホンダをはじめとする国内メーカーとの競争が厳しく、日産がシェアを奪う余地が限られています。
  • 電気自動車(EV)市場では海外勢も参入しており、日産は強い競争環境にさらされています。
(3) 高価格帯モデルの需要減少
  • 高価格帯の車両は購買層が限られており、競争力を保つためには価格設定の見直しが必要です。

日本市場における日産の売上は、安定しているものの成長が限られています。

日本もリストラの影響を受けるでしょうが、他の地域よりも限定的ではないかと予想します。

国内需要の縮小や競争の激化が課題ですが、EV市場や軽自動車市場でのポテンシャルを活かし、サービスの革新を進めることで、さらなる成長が期待できるでしょう。

(1) 地域別の売上から見るリストラ予想

2024年上期の業績から、以下の地域が特に課題を抱えていることが分かります​。

1. 北米

項目 2023年上期 2024年上期 増減率
売上高(億円) 3,503 3,501 -0.1%
営業利益(億円) 1,093 168 -84.6%

問題点

売上高は維持されているものの、営業利益が大幅に減少しています。

製造コストの上昇や激しい価格競争が原因と考えられます。

影響の可能性

北米市場では、人員削減やディーラー網の縮小、生産拠点の効率化が検討される可能性が高い。

2. ヨーロッパ

項目 2023年上期 2024年上期 増減率
売上高(億円) 854 877 +2.7%
営業利益(億円) -91 -391 損失拡大

問題点

売上は微増していますが、利益が出ていない状況です。

欧州での競争が激化しており、収益性が著しく低下しています。

影響の可能性

利益の出ない拠点やモデルの見直し、さらに市場戦略の転換が進むと予測されます。

一部の生産工場や管理部門での人員削減が予想されます。

3. その他地域

項目 2023年上期 2024年上期 増減率
売上高(億円) 692 649 -6.2%
営業利益(億円) -105 -154 損失拡大

問題点

特に新興国市場では、経済状況の変化や競争環境の厳しさが課題です。

販売台数が伸び悩み、収益性が低下しています。

影響の可能性

他地域と比較してコスト削減の余地が大きいため、リストラの対象となりやすいです。

販売体制の縮小や不採算モデルの廃止が予想されます。

(2) 部門別の影響

リストラでは、地域だけでなく、以下のような特定部門も影響を受けると考えられます。

1. 製造部門

背景

原材料費の高騰や製造効率の悪化が課題。

特に収益性の低い工場が閉鎖や縮小の対象になる可能性があります。

影響の可能性

日本や欧州の一部工場が整理される。

生産の一部を効率的な地域(アジアやメキシコなど)に移管。

2. 販売・マーケティング部門

背景

一部地域で販売台数が低迷しており、過剰な販売網や非効率なマーケティング戦略がコストを押し上げています。

影響の可能性

ディーラー網の整理・統合。

広告予算の削減や新しい販売戦略への移行。

3. 管理部門

背景

デジタル化や効率化により、一部の事務職が不要になる可能性があります。

影響の可能性

グローバル本社や地域本部での職務見直しが進む。

 

(3) 社会的影響

9000人規模のリストラは、以下の社会的影響も考えられます:

現地雇用への影響

リストラの対象地域では失業率の上昇が懸念されます。

労働組合との交渉

人員削減に対して労働組合からの反発が予想され、調整が必要となるでしょう。

地域社会の反応

特に工場閉鎖が行われる場合、地域経済への悪影響が懸念されます。

リストラは主に北米、ヨーロッパ、その他地域での事業効率化やコスト削減が目的との見立てが普通です。製造部門や販売部門も見直しの対象となる可能性があります。

今後の情報を注視していきましょう。

4. 日産のこれから

リストラの影響は大きいですが、日産はその先の未来に向けて動こうとしています。

どんな未来?

電気自動車(EV)に力を入れる:これからの主流になると考えられている電気自動車に集中します。

新しい技術に投資:自動運転や安全技術をさらに進化させます。

利益を増やす:売上だけではなく、しっかりと利益を出せる会社を目指します。

2020年~2024年 自己資本比率の推移

年度 自己資本比率(%)
2020年 24.0
2021年 28.0
2022年 29.2
2023年 30.1
2024年上期 30.6

まとめ

日産は厳しい状況を乗り越えるため、リストラという苦しい選択をしました。

今のところ詳しい地域や対象者については発表されていませんが、9000人にも上るリストラを行うのですから、日本への影響も考えれられます。

日産で働いている方は、不安だと思いますので日産の発表と注視していきましょう。